東京地方裁判所 平成9年(ワ)4112号 判決 1998年7月24日
東京都台東区東上野六丁目一番一号
原告
株式会社アサバン印刷
右代表者代表取締役
水上幸壽
東京都保谷市新町一丁目五番一四号
原告
水上幸壽
右両名訴訟代理人弁護士
斎藤博人
同
中城剛志
同
松村幸生
東京都新宿区西新宿三丁目一九番二号
被告
日本電信電話株式会社
右代表者代表取締役
宮津純一郎
右代理人支配人
宇田好文
右訴訟代理人弁護士
佐藤安男
右指定代理人
豊田武司
同
加藤祐一
同
木下修
同
渡辺孝一
同
川端文明
同
西村和己
主文
一 原告らの請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は、原告らの負担とする。
事実及び理由
第一 請求
一 被告は、原告株式会社アサバン印刷に対し、金三億七五〇〇万円及びこれに対する平成九年三月一五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告は、原告水上幸壽に対し、金一億二五〇〇万円及びこれに対する平成九年三月一五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告水上幸壽(以下「原告水上」という。)は、別紙物件目録二記載1ないし4の職業別電話帳第一分冊を著作した。
原告水上は、別紙物件目録二記載1ないし4の職業別電話帳第二分冊ないし第六分冊については、表紙及びその裏面の案内文を作成したほか、第二分冊については、一部の掲載広告を作成した。これらの分冊については、それ以上作成されることなく、未完成であったが、第一分冊並びに右表紙及びその裏面の案内文から、いかなる著作物であるかを容易にうかがい知ることができたから、原告水上著作に係る著作物としての保護を与えられるべきである。
2 原告水上は、別紙物件目録二記載1ないし4の職業別電話帳第一分冊ないし第六分冊(以下、これらを総称して「本件原告電話帳」という。)について、原告株式会社アサバン印刷(以下「原告会社」という。)に出版権を設定し、原告会社は、別紙物件目録二記載1ないし4の職業別電話帳第一分冊を出版したほか、第二分冊ないし第六分冊の出版も予定していた。
3 本件原告電話帳は、次のような点において創作性があるから、著作権法一二条一項の「編集著作物」に当たる。
(一) 当時の日本電信電話公社(以下「電電公社」という。)発行に係る東京二三区版の職業別電話帳は、業種を二グループに分割して上巻と下巻に分冊し、各業種について二三区内のすべての業者があいうえお順に羅列されていたものであった。これに対し、本件原告電話帳は、業種では分冊せず、東京二三区内を六つの地域に分けた地域分冊となっており、各分冊にはすべての業種が掲載されている。しかも、本件原告電話帳の表紙には、分冊毎の地域が地図によって分かりやすく表示されているし、各分冊ごとに色分けがされているので、見やすくなっている。さらに、電電公社発行に係る東京二三区版の職業別電話帳は、五段組みで活字も小さかったのに対し、本件原告電話帳は、四段組みにして、活字も大きくした。
これらの違いは、電電公社発行に係る東京二三区版の職業別電話帳が、あらゆる情報を網羅する「辞書」としての性質を有していたのに対し、本件原告電話帳は、「買い物、仕入れのガイドブック」としての性質を有していることによる違いであり、本件原告電話帳は、電話帳の利用者にとっては、通常利用する近隣業者がひとまとまりになっているため業者の検索が便利になった、薄くなって扱いやすくなった、活字が大きくなって見やすくなったなどといった利点があり、広告主にとっては、一分冊のみに広告を出せばよくなったことによる広告料負担の軽減という利点がある。さらに、資源の節約にもなる。
(二) また、本件原告電話帳は、ターミナルを中心とした商圏(例えば、第一分冊については上野を中心とした商圏)を措定した上、広告主の有効広告範囲、利用者の購買行動範囲、必要な業種の網羅といった諸要素を勘案して、分冊したものであって、機械的に分冊したものではない。
(三) さらに、本件原告電話帳は、広告等について、電電公社発行に係る東京二三区版の職業別電話帳には見られない別紙「アサヒ番号簿の独創性」記載の独自の工夫が存する。
4 被告は、別紙物件目録一記載1ないし7の職業別電話帳(タウンページ)東京二三区版(以下、これらを総称して、「本件被告電話帳」という。)を出版した。
5 本件被告電話帳は、東京二三区内を隣接する五つの地域に分冊し、分冊化された各地域内のすべての業者を一冊のうちに掲載しており、表紙には対象地域の地図が表示されている上、右の五冊の分冊は色分けされており、分冊の基準もターミナルとその周辺地域というものであるから、本件被告電話帳は、本件原告電話帳と同じ目的の下に作成されたもので、同一性を有するものである。
また、被告は、その前身である電電公社のころから、本件原告電話帳の存在を知っていたのであるから、本件被告電話帳は、本件原告電話帳に依拠して作成されたものである。
したがって、被告が本件被告電話帳を出版する行為は、原告水上が本件原告電話帳について有する著作権(複製権)及び原告会社が本件原告電話帳について有する出版権を侵害する行為であり、その行為につき、被告には故意又は少なくとも過失がある。
6 原告らは、昭和五一年以降は、東京二三区の分冊された職業別電話帳を出版していなかったが、再度の出版に向けて、広告見込客リストを作成するなどの準備しており、平成三年には、事務所の拡張、電話回線の増設、電話勧誘の訓練、コンピュータの導入などの準備を行った。ところが、被告が平成四年から、本件被告電話帳を出版したため、東京二三区の分冊された職業別電話帳を再度出版することを断念した。
被告は本件被告電話帳を出版することによって、各年において別紙損害計算書記載の利益を得た。これが原告らの被った損害の額と推定されるところ、原告らは、本件原告電話帳につき、原告水上が四分の三、原告会社が四分の一の利益を取得する旨合意していたから、右損害額の四分の三は原告水上の、四分の一は原告会社の損害となる。その金額の合計は、原告水上につき五七九億六六五四円、原告会社につき一九三億二二一八円である。
7 よって、原告会社は、被告に対し、右損害金のうち三億七五〇〇万円及びこれに対する平成九年三月一五日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を、原告水上は、被告に対し、右損害金のうち金一億二五〇〇万円及びこれに対する平成九年三月一五日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める。
二 請求原因に対する認否及び被告の主張
1 1の事実は知らない。主張は争う。
2 2の事実は知らない。
3 3は争う。
本件原告電話帳は、編集著作物としての著作権が認められるものではない。その理由は次のとおりである。
(一) 職業別電話帳について、「地域」により分冊を行うことそれ自体については、その表現形式において個性が現れたものとはいえず、創作性は認められない。また、仮に職業別電話帳の地域分冊について創作性があるとしても、それは電電公社が創作したものであって、原告水上が創作したものではない。
(二) 本件原告電話帳における「地域」の分割方法は、単純に近隣の区を組み合わせただけのものであって、そこに創作性は認められない。また、本件原告電話帳が、ターミナルとその周辺地域という分冊基準によって分冊されたとしても、そこに創作性は認められない。
4 4の事実は、出版日を除いて、認める。出版日は、各年の三月である。
5 5は争う。
被告によるタウンページの分冊化は、被告において東京二三区内における消費者の購買行動、通話交流パターン等についての詳細な調査を行った上、各エリアに主要な商業区を一区以上収録し、いわゆる「飛び区」を作らない等の明確な基準を基に、タウンページ利用者の充分な満足が得られるよう創意工夫を凝らしたものであって、そこには、東京二三区の地域分割に関し、素材の分類、選択における創作性が認められるから、本件原告電話帳を複製したものではない。
6 6、7は争う。
第三 当裁判所の判断
一 本件原告電話帳の存在及びその著作物性について
1 証拠(甲一の一ないし六、甲一四、一五、一七、一八、一九、二一、乙四、一二)と弁論の全趣旨によると、原告水上は、昭和四四年から昭和四六年までと昭和四八年から昭和五〇年まで、毎年一回、東京二三区のうち台東区、葛飾区、墨田区、江戸川区を対象とする職業別電話帳である「アサヒ番号簿台東、葛飾、墨田、江戸川区版」を作成し、それらは、原告会社によって出版されたこと、本件原告電話帳のうち第一分冊(以下「本件原告電話帳第一分冊」という。)は、昭和四六年、昭和四八年ないし昭和五〇年に、作成、出版された右「アサヒ番号簿台東、葛飾、墨田、江戸川区版」であること、右「アサヒ番号簿台東、葛飾、墨田、江戸川区版」が作成出版された当時、電電公社発行の職業別電話帳は、東京二三区の電話加入者を職業別に上、下二冊に分類したものであったこと、右「アサヒ番号簿台東、葛飾、墨田、江戸川区版」は、電電公社発行の職業別電話帳から右の四区における電話加入者をすべて抽出し、その加入者名、住所及び電話番号を電電公社発行の職業別電話帳と同じ職業分類に従って配列したもので、各職業内においては、電電公社発行の職業別電話帳と同じように「あいうえお順」で配列したものであったこと、以上の各事実が認められる。
2 そこで、本件原告電話帳第一分冊が「編集著作物」ということができるかどうか、すなわち、本件原告電話帳第一分冊が、その素材の選択又は配列によって創作性を有するかどうかについて判断する。
(一) 原告らは、電電公社発行に係る東京二三区版の職業別電話帳が、あらゆる情報を網羅する「辞書」としての性質を有していたのに対し、本件原告電話帳は、「買い物、仕入れのカイドブック」としての性質を有していると主張する。しかし、証拠(乙一二)によると、昭和四四年に電電公社によって発行された東京二三区版の職業別電話帳には、「お買いもの・ご商売・レジャーのガイドブック」と記載されており、「ひきかた」という項目の下に、「お医者をさがすとき」、「運搬、引越しをたのむとき」、「家具を買いたいとき」、「レジャーの予約・ご相談に」という例をあげて、それぞれの場合における電話帳の引き方が記載されていた上、同項目には、「広告はあなたの注文先をさがすのに役だちます。」という記載もされていたこと、右職業別電話帳は、日常生活に直接関係のある病院などの職種については、東京二三区の区別に配列されていたこと、以上の各事実が認められ、これらの事実によると、前記「アサヒ番号簿台東、葛飾、墨田、江戸川区版」の出版が開始された当時から、電電公社発行に係る東京二三区版の職業別電話帳が「買い物、仕入れのカイドブック」としての性質を有していたことは明らかであり、本件原告電話帳が「買い物、仕入れのカイドブック」としての性質を有していたからといって、特に新しい性質を有するものではない。
(二) ある地域の職業別電話帳を更に細かい地域に分冊することは、電話帳の利用者にとっては、通常利用する近隣業者がひとまとまりになっていているため業者の検索が便利になる、薄くなって扱いやすくなるといった利点があり、広告主にとっては、一分冊のみに広告を出せばよくなったことによる広告料負担の軽減という利点があり、さらに、資源の節約にもなるものであるが、分冊された各地域以外の地域の電話番号を検索するときには、別の電話帳によって検索しなければならないという欠点があるものと考えられる。他方、職業別電話帳を更に細かい地域に分冊しない場合には、広い範囲の検索をすることができるという利点があるが、右の分冊した場合の利点とは逆の欠点があるものと考えられる。しかし、この欠点は、職業別に上、下に分冊すること、日常生活に直接関係のある職種については、更に細かい地域の区分によって配列することなどによって補うことができるものであって、右認定のとおり、電電公社発行に係る東京二三区版の職業別電話帳では、そのような対策が講じられていたものと認められる。
そして、証拠(乙一八、一九)によると、原告水上は、以上のような更に細かい地域に分冊する利点を考慮して、本件原告電話帳第一分冊を作成したものと認められるが、このような点を考慮して、東京二三区の職業別電話帳を更に細かい地域の電話帳に分冊することは、ありふれた発想であって、専門的な知識や特段の創意工夫を要することなくなしうることであるといえることに加え、証拠(乙五の一ないし四、乙六の一ないし四、乙七の一ないし三)によると、電電公社が発行する一つの府県の職業別電話帳を更に細かい地域によって分冊することは、昭和四〇年から山口県と岡山県において、昭和四三年から大阪府において行われていたものと認められることをも総合考慮すると、職業別電話帳の地域として東京二三区を更に細かい地域に分けること自体には創作性がないと認められるから、本件原告電話帳等一分冊が東京二三区の職業別電話帳を更に細かい地域に分冊したという点において素材の選択配列に創作性があるものと認めることはできない。
なお、右認定のとおり、本件原告電話帳第一分冊が発行された当時、電電公社発行に係る東京二三区版職業別電話帳は、地域ごとに分冊されていなかったのであり、原告らは、そのような状況の下で原告水上が前記の利点を考慮して地域分冊化を行ったのであるから地域分冊化そのものに創作性が認められる旨主張するが、右認定のとおり、電電公社は、本件原告電話帳第一分冊が発行されるよりも前から他の府県においては職業別電話帳の地域分冊化を行っていたのであり、偶々東京二三区版については異なる判断により地域分冊化を行っていなかったからといって、地域に分冊することに創作性があるということはできない。
(三) 証拠(甲一の三ないし六、甲二一)と弁論の全趣旨によると、本件原告電話帳第一分冊の表紙には、掲載地域が図によって表示されていること、本件原告電話帳第一分冊が作成出版された当時、電電公社発行に係る東京二三区版の職業別電話帳は、五段組みであったのに対し、本件原告電話帳は、四段組みで活字も大きくなっていたこと、以上の各事実が認められる。しかし、表紙に掲載地域を図によって表示することは、分冊化したことから容易に思いつくことであると考えられる上、素材の選択配列とは直接関係しないことであり、活字の大きさを変えたからといって、そのことから、直ちに素材の配列選択に創作性があるということはできない。
(四) 次に、本件原告電話帳第一分冊の分冊の方法について判断する。
東京二三区の職業別電話帳を地域に分冊しようとした場合、近隣のいくつかの区をひとまとまりにして分冊することは、直ちに思いつくものと考えられるところ、本件原告電話帳第一分冊は、近隣の四つの区を一つの地域として分冊しており、その一部を除外するとか、他の区の一部を加えるとかといったことはしていない。また、原告らは、本件原告電話帳は、ターミナルを中心とした商圏を措定した上、広告主の有効広告範囲、利用者の購買行動範囲、必要な業種の網羅といった諸要素を勘案して、分冊したものであり、本件原告電話帳第一分冊のターミナルは上野であると主張し、証拠(甲一八)と弁論の全趣旨によると、原告水上は、人が買い物をするのは住んでいる区かせいぜいその隣の区までであるという点を考慮したことが認められるが、これは、日常生活における経験から容易に推測することができる程度の事項であり、原告水上が、それ以上に、右の四区が、上野を中心としてどのような関係にあり、そこにおける広告主の有効広告範囲や利用者の購買行動範囲がどのようなものであるかについて、具体的に検討したことを認めるに足りる証拠はない。さらに、あまりに地域の範囲が狭すぎて必要な業種が網羅されていないと、分冊をした意味がないが、近隣のいくつかの区をひとまとまりにして分冊した場合に、そのような事態が生じるとは考えがたい。そうすると、本件原告電話帳第一分冊の分冊の方法は、近隣の四つの区を一つの地域としたものという以上のものではないから、そのようにして分冊した電話帳であるからといって、それについて素材の選択配列に創作性を認めることはできない。
(五) 次に、別紙「アサヒ番号簿の独創性」記載の各事項について判断する。
(1) 証拠(甲一四)と弁論の全趣旨によると、「掲載区域方面別の求人欄」は、上野方面、浅草橋方面といった地域別の求人情報を記載したものであるが、求人情報を地域別に分類したのみでは創作性があるということはできず、他に、右欄についてその素材の選択配列に創作性があると認めうる事実についての主張立証はない。
(2) 証拠(甲一四)と弁論の全趣旨によると、「縁黒連続広告」は、各頁の右縁に黒地に白抜き文字の広告を連続して掲載したもの、「黒ベタ広告」は、背景を黒地とし、そこに白い文字等を記載した広告、「割引券付広告」は、商品を割引価格で買うことができる券が付いた広告であることが認められるが、それらの広告を掲載したからといって、素材の選択配列に創作性があるとは認められない。
(3) 証拠(甲一四)と弁論の全趣旨によると、「葛飾区名店御案内」は、葛飾区の商店の広告を、家具、金物、寝具といった業種で分類して、一まとまりのところに掲載したものであることが認められるが、その素材の選択配列に創作性があると認めうる事実についての主張立証はない。
(4) 証拠(甲一四)と弁論の全趣旨によると、「住所・メモ欄」は、住所や他の事項をメモすることができる欄であることが認められるが、それらを掲載したからといって、素材の選択配列に創作性があるとは認められない。
(六) 以上のとおり、本件原告電話帳第一分冊が、その素材の選択又は配列によって創作性を有するとは認められない。
3 証拠(甲二の二の一、二、甲二の三ないし六、甲一八)と弁論の全趣旨によると、原告水上は、昭和四三年に、本件原告電話帳第一分冊とともに、第二分冊ないし第六分冊を作成して原告会社において出版することを計画し、それらについて、「アサヒ番号簿」の特徴と広告料金表を記載した書面を作成して配布し、広告の勧誘をしたこと、原告水上は、そのころ、電電公社の発行に係る職業別電話帳から、本件原告電話帳第二分冊ないし第六分冊の各地域の業者名等を抽出し、四段組に配列して写植打ちを行う作業を、写植業者に請け負わせて行っていたが、その作業は、途中で中止され、以後の作業が行われなかったため、本件原告電話帳第二分冊ないし第六分冊は、完成しなかったこと、その後、本件原告電話帳第二分冊ないし第六分冊が作成、出版されることはなかったこと、以上の各事実が認められる。
そうすると、本件原告電話帳第二分冊ないし第六分冊は、それを作る計画があり、途中まで作業が行われたが、中断され、結局、素材を編集したものとして完成しなかったのであるから、原告らは、本件原告電話帳第二分冊ないし第六分冊について、編集著作権を主張することはできない。
二 被告の職業別電話帳と本件原告電話帳第一分冊との同一性
1 被告が、本件被告電話帳を出版したことは、出版日を除いて当事者間に争いがなく、証拠(甲六の一ないし五)と弁論の全趣旨によると、出版日は、各年の三月であると認められる。
2 証拠(甲六の一ないし五、乙九、乙一〇の一ないし六、乙一四、乙一五の一ないし五、乙一六の一ないし五)と弁論の全趣旨によると、本件被告電話帳は、東京二三区内を隣接する別紙収録エリア目録記載の五つのエリアに分冊し、分冊化された各エリア内のすべての業者を一冊のうちに掲載しており、表紙には対象地域を示す図が表示されている上、右の五冊の分冊は色分けされていること、被告は、職業別電話帳を分冊するに当たって、買物行動調査(どの区の人がどの区に買物に行くかの調査)及び通話交流調査(どの区の人がどの区の人に電話をかけるかの調査)を行った上で、各エリアに主要な商業区を一区以上含むこと、いわゆる「飛び区」を作らないこと等の基準に従って分割案を作成し、それについてアンケートを行って、右の五つのエリアに分冊することに決定したこと、本件被告電話帳には、別紙「アサヒ番号簿の独創性」記載の各事項は存しないこと、以上の各事実が認められる。
3 前記一1及び2(三)認定の事実と右2認定の事実によると、本件被告電話帳は、東京二三区内を更に細かい隣接する区域に分冊したものであり、分冊化された各地域内のすべての業者を一冊のうちに掲載していること、表紙には対象地域を表す図が表示されていることの各点において、本件原告電話帳第一分冊と共通する。しかし、これらの点について、本件原告電話帳第一分冊に素材の選択配列に関して創作性が認められないことは、既に判示したところである。
本件原告電話帳第一分冊は、既に判示したとおり、分冊の方法を考慮しても、その素材の選択配列に創作性を認めることはできないのであるが、仮に、そのことによって原告電話帳第一分冊の素材の配列選択に創作性が認められるとしても、前記一1認定の事実及び2(四)認定の事実と右2認定の事実によると、本件原告電話帳第一分冊と本件被告電話帳とでは、分冊化された各電話帳に収録されている区の範囲が異なる上、本件原告電話帳第一分冊では分冊化された地域に重複して収録されている区は存しないのに対し、本件被告電話帳では、千代田区、中央区が三つのエリアに、新宿区、渋谷区が二つのエリアに重複して収録されており、分冊化の仕方が全く異なっている。さらに、被告は、右2認定のような考慮の下に分冊基準を定めたものであって、本件原告電話帳第一分冊とは分冊基準が異なる。したがって、本件原告電話帳第一分冊と本件被告電話帳とが同一であるとはいえない。なお、右2認定のとおり、本件被告電話帳は、分冊ごとに色分けされているのであるが、本件原告電話帳第一分冊のみでは、色分けされているとはいえないから、この点を対比することはできない。
右2認定のとおり、本件被告電話帳には、別紙「アサヒ番号簿の独創性」記載の各事項は存しないのであるから、仮に本件原告電話帳第一分冊のこれらの事項について素材の選択配列に創作性が認められるとしても、本件原告電話帳第一分冊と本件被告電話帳とが同一であるとはいえない。
三 以上のとおり、本件原告電話帳について編集著作権を認めることができず、仮に本件原告電話帳第一分冊について素材の選択配列に創作性が認められる点があるとしても、本件原告電話帳第一分冊と本件被告電話帳とが同一であるということはできない。
四 よって、本件請求はいずれも理由がないので、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 森義之 裁判官 榎戸道也 裁判官 中平健)
別紙物件目録
一
1 出版者 日本電信電話株式会社
出版日 平成四年二月
出版物名 職業別電話帳(タウンページ)東京二三区版
対象期間 平成六年三月から平成七年二月
対象区域 左記の区域に分冊化
第一分冊 千代田区、中央区、墨田区、江東区、江戸川区
第二分冊 港区、品川区、目黒区、大田区
第三分冊 新宿区、渋谷区、世田谷区、中野区、杉並区
第四分冊 台東区、荒川区、足立区、葛飾区
第五分冊 豊島区、文京区、北区、板橋区、練馬区
2 出版者 日本電信電話株式会社
出版日 平成五年二月
出版物名 職業別電話帳(タウンページ)東京二三区版
対象期間 平成六年三月から平成七年二月
対象区域 左記の区域に分冊化
第一分冊 千代田区、中央区、墨田区、江東区、江戸川区
第二分冊 港区、品川区、目黒区、大田区
第三分冊 新宿区、渋谷区、世田谷区、中野区、杉並区
第四分冊 台東区、荒川区、足立区、葛飾区
第五分冊 豊島区、文京区、北区、板橋区、練馬区
3 出版者 日本電信電話株式会社
出版日 平成六年二月
出版物名 職業別電話帳(タウンページ)東京二三区版
対象期間 平成六年三月から平成七年二月
対象区域 左記の区域に分冊化
第一分冊 千代田区、中央区、墨田区、江東区、江戸川区
第二分冊 港区、品川区、目黒区、大田区
第三分冊 新宿区、渋谷区、世田谷区、中野区、杉並区
第四分册 台東区、荒川区、足立区、葛飾区
第五分册 豊島区、文京区、北区、板橋区、練馬区
4 出版者 日本電信電話株式会社
出版日 平成七年二月
出版物名 職業別電話帳(タウンページ)東京二三区版
対象期間 平成七年三月から平成八年二月
対象区域 左記の区域に分冊化
第一分冊 千代田区、中央区、墨田区、江東区、江戸川区
第二分冊 港区、品川区、目黒区、大田区
第三分冊 新宿区、渋谷区、世田谷区、中野区、杉並区
第四分冊 台東区、荒川区、足立区、葛飾区
第五分冊 豊島区、文京区、北区、板橋区、練馬区
5 出版者 日本電信電話株式会社
出版日 平成八年二月
出版物名 職業別電話帳(タウンページ)東京二三区版
対象期間 平成八年三月から平成九年二月
対象区域 左記の区域に分冊化
第一分冊 千代田区、中央区、墨田区、江東区、江戸川区
第二分冊 港区、品川区、目黒区、大田区
第三分冊 新宿区、渋谷区、、世田谷区、中野区、杉並区
第四分冊 台東区、荒川区、足立区、葛飾区
第五分冊 豊島区、文京区、北区、板橋区、練馬区
6 出版者 日本電信電話株式会社
出版日 平成九年二月
出版物名 職業別電話帳(タウンページ)東京二三区版
対象期間 平成九年三月から平成一〇年二月
対象区域 左記の区域に分冊化
第一分冊 千代田区、中央区、墨田区、江東区、江戸川区
第二分冊 港区、品川区、目黒区、大田区
第三分冊 新宿区、渋谷区、世田谷区、中野区、杉並区
第四分冊 台東区、荒川区、足立区、葛飾区
第五分冊 豊島区、文京区、北区、板橋区、練馬区
7 出版者 日本電信電話株式会社
出版日 平成一〇年二月
出版物名 職業別電話帳(タウンページ)東京二三区版
対象期間 平成一〇年三月から平成一一年二月
対象区域 左記の区域に分冊化
第一分冊 千代田区、中央区、墨田区、江東区、江戸川区
第二分冊 港区、品川区、目黒区、大田区
第三分冊 新宿区、渋谷区、世田谷区、中野区、杉並区
第四分冊 台東区、荒川区、足立区、葛飾区
第五分冊 豊島区、文京区、北区、板橋区、練馬区
二
1 出版者 アサヒ番号簿株式会社(現商号株式会社アサバン印刷)
出版日 昭和四六年八月
出版物名 職業別電話帳(アサヒ番号簿)東京二三区版
対象区域 左記の区域に分冊化
第一分冊 台東区、墨田区、葛飾区、江戸川区
第二分冊 新宿区、中野区、杉並区、練馬区
第三分冊 港区、品川区、大田区
第四分冊 渋谷区、目黒区、世田谷区
第五分冊 足立区、荒川区、北区、板橋区、豊島区
第六分冊 千代田区、文京区、中央区、江東区
2 出版者 アサヒ番号簿株式会社(現商号株式会社アサバン印刷)
出版日 昭和四八年六月
出版物名 職業別電話帳(アサヒ番号簿)東京二三区版
対象区域 左記の区域に分冊化
第一分冊 台東区、墨田区、葛飾区、江戸川区
第二分冊 新宿区、中野区、杉並区、練馬区
第三分冊 港区、品川区、大田区
第四分冊 渋谷区、目黒区、世田谷区
第五分冊 足立区、荒川区、北区、板橋区、豊島区
第六分冊 千代田区、文京区、中央区、江東区
3 出版者 アサヒ番号簿株式会社(現商号株式会社アサバン印刷)
出版日 昭和四九年七月
出版物名 職業別電話帳(アサヒ番号簿)東京二三区版
対象区域 左記の区域に分冊化
第一分冊 台東区、墨田区、葛飾区、江戸川区
第二分冊 新宿区、中野区、杉並区、練馬区
第三分冊 港区、品川区、大田区
第四分冊 渋谷区、目黒区、世田谷区
第五分冊 足立区、荒川区、北区、板橋区、豊島区
第六分冊 千代田区、文京区、中央区、江東区
4 出版者 アサヒ番号簿株式会社(現商号株式会社アサバン印刷)
出版日 昭和五〇年九月
出版物名 職業別電話帳(アサヒ番号簿)東京二三区版
対象区域 左記の区域に分冊化
第一分冊 台東区、墨田区、葛飾区、江戸川区
第二分冊 新宿区、中野区、杉並区、練馬区
第三分冊 港区、品川区、大田区
第四分冊 渋谷区、目黒区、世田谷区
第五分冊 足立区、荒川区、北区、板橋区、豊島区
第六分冊 千代田区、文京区、中央区、江東区
別紙
損害計算書
Ⅰ 平成4年版
一 収入の部(クウンページのサンブル調査による概算 ※<1>)
1.広告料収入(1年分)
(1)通常広告料収入
<1>第1分册( ~1338頁) 34億0,170万円
(千代田、中央、墨田、江東、江戸川) (340,176,200×10)
<2>第2分册( ~1919頁) 37億3,470万円
(港、品川、目黒、大田) (373,478,000×10)
<3>第3分冊( ~1829頁) 57億9,730万円
(新宿、渋谷、世田谷、中野、杉並) (579,737,400×10)
<4>第4分册( ~1619頁) 23億6,370万円
(台東、荒川、足立、葛飾) (236,378,400×10)
<5>第5分册( ~1599頁) 33億0,310万円
(豊島、文京、北、板橋、練馬) (330,318,000×10)
合計 186億0,050万円
(2)表紙広告(1年分)
<1>表2広告 15,000,00/頁×5=7,500万円
<2>表4広告 25,000,000/頁×5=1億2,500万円
合計 2億0,000万円
(3)広告料収入合計 188億0,050万円
二.経費の部(発行部数を約400万部として算定)
1.紙集費 1億5,700万円
(変更、移動の組み換え費用)
2.製版費 7,732万円
3.製本代 7億7,950万円
4.印刷費 3億7,000万円
5.紙代 5億7,200万円
6.配達費 8億0,000万円
7.広告募集手数料 27億9,000万円
合計 55億4,582万円
三.被告の本件発行物の利益概算(1年分)
金132億5,468万円
※<1>収入の計算は、平成4年度タウンページの掲載広告を10頁毎に被告料金表から広告料を算出し、その合計額に10を乘じて算出したものにつき10万円以下を切り捨てたもの
四.各原告の損害
各原告の1年分の損害
原告会社 金99億4,101万円(三の利益の4分の3)
原告水上 金33億1,367万円(三の利益の4分の1)
Ⅱ 平成5年版
一 収入の部(タウンページのサンブル調査による概算 ※<1>)
1.広告料収入(1年分)
(1)通常広告料収入
<1>第1分冊( ~1747頁) 32億6,000万円
(千代田、中央、墨田、江東、江戸川) (326,001,600×10)
<2>第2分冊( ~1757頁) 33億0,710万円
(港、品川、目黒、大田) (330,711,400×10)
<3>第3分柵( ~1727頁) 54億9,270万円
(新宿、渋谷、世田谷、中野、杉並) (549,271,400×10)
<4>第4分冊( ~1397頁) 19億5,280万円
(台東、荒川、足立、葛飾) (195,282,000×10)
<5>第5分册( ~1477頁) 32億4,390万円
(豊島、文京、北、板橋、練馬) (324,398,000×10)
合計 172億5,650万円
(2)表紙広告(1年分)
<1>表2広告 15,000,000/頁×5=7,500万円
<2>表4広告 25,000,000/頁×5=1億2,500万円
合計 2億0,000万円
(3)広告料収入合計 174億5,650万円
二.経費の部(発行部数を約400万部として算定)
1.編集費 1億5,341万円
(変更、移動の組み換え費用)
2.製版費 7,546万円
3.製本代 7億6,087万円
4.印刷費 3億6,079万円
5.紙代 5億5,825万円
6.配達費 8億0,000万円
7.広告募集手数料 25億8,840万円
合計 52億9,718万円
三.被告の本件発行物の利益概算(1年分)
金121億5,932万円
<1>収入の計算は、平成5年度タウンベージの掲載広告を10頁毎に被告料金表から広告料を算出し、その合計額に10を乘じて算出したものにつき10万円以下を切り捨てたもの
四.各原告の損害
各原告の1年分の損害
原告会社 金91億1,949円(三の利益の4分の3)
原告水上 金30億3,983万円(三の利益の4分の1)
Ⅲ 平成6年版
一 収入の部 (タウンベージのサンブル調査による概算 ※<1>)
1.広告料収入(1年分)
(1)通常広告料収入
<1>第1分冊( ~1568頁) 17億3,510万円
(千代田、中央、墨田、江東、江戸川) (173,515,000×10)
<2>第2分冊( ~1632頁) 27億5,780万円
(港、品川、目黒、大田) (275,784,000×10)
<3>第3分冊( ~1936頁) 27億2,330万円
(新宿、渋谷、世田谷、中野、杉並) (272,334,000×10)
<4>第4分册( ~1312頁) 28億9,420万円
(台東、荒川、足立、葛飾) (289,427,000×10)
<5>第5分册( ~139) 46億3,190万円
(豊島、文京、北、板橋、練馬) (463,197,000×10)
合計 147億4,230万円
(2)表紙広告(1年分)
<1>表2広告 15,000,000/頁×5=7,500万円
<2>表4広告 25,000,000/頁×5=1億2,500万円
合計 2億0,000万円
(3)広告料収入合計 149億4,230万円
二.経費の部(発行部数を約400万部として算定)
1.編集費 1億4,840万円
(変更、移動の組み換え費用)
2.製版費 7,300万円
3.製本代 7億3,600万円
4.印刷費 3億4,900万円
5.紙代 5億4,000万円
6.配達費 8億0,000万円
7.広告募集手数料 22億4,139万円
合計 48億8,779万円
三.被告の本件発行物の利益概算(1年分)
金100億5,451万円
<1>収入の計算は、平成6年度タウンベージの掲載広告を10頁毎に被告料金表から広告料を算出し、その合計額に10を乘じて算出したものにつき10万円以下を切り捨てたもの
四.各原告の損害
各原告の1年分の損害
原告会社 金75億4,088万円(三の利益の4分の3)
原告水上 金25億1,363万円(三の利益の4分の1)
Ⅳ 平成7年版
一 収入の部(クウンベージのサンブル調査による概算 ※<1>)
1.広告料収入(1年分)
(1)通常広告料収入
<1>第1分冊( ~1497頁) 27億3,800万円
(千代田、中央、墨田、江東、江戸川) (273,800,000×10)
<2>第2分冊( ~1577頁) 27億7,460万円
(港、品川、目黒、大田) (277,466,000×10)
<3>第3分冊( ~1536頁) 46億2,360万円
(新宿、渋谷、世田谷、中野、杉並) (462,366,000×10)
<4>第4分册( ~1287頁) 17億4,260万円
(台東、荒川、足立、葛飾) (174,267,000×10)
<5>第5分冊( ~1337頁) 27億5,460万円
(豊島、文京、北、板橋、練馬) (275,468,000×10)
合計 146億3,340万円
(2)表紙広告(1年分)
<1>表2広告 15,000,000/頁×5=7,500万円
<2>表4広告 25,000,000/頁×5=1億2,500万円
合計 2億0,000万円
(3)広告料収入合計 148億3,340万円
二.経費の部(発行部数を約400万部として算定)
1.編集費 1億4,840万円
(変更、移動の組み換え費用)
2.製版費 7,300万円
3.製本代 7億3,600万円
4.印刷費 3億4,900万円
5.紙代 5億4,000万円
6.配達費 8億0,000万円
7.広告募集手数料 21億9,500万円
合計 48億4,140万円
三.被告の本件発行物の利益概算(1年分)
99億9,200万円
<1>収入の計算は、平成7年度タウンベージの掲載広告を10頁毎に被告料金表から広告料を算出し、その合計額に10を乘じて算出したものにつき10万円以下を切り捨てたもの
四.各原告の損害
各原告の1年分の損害
原告会社 74億9,400万円(三の利益の4分の3)
原告水上 24億9,800万円(三の利益の4分の1)
Ⅴ 平成8年版
一 収入の部(タウンベージのサンブル調査による概算 ※<1>)
1.広告料収入(1年分)
(1)通常広告料収入
<1>第1分冊(27~1497頁) 28億3,370万円
(千代田、中央、墨田、江東、江戸川) (566,754,400×5)
<2>第2分冊(27~1577頁) 28億14,290万円
(港、品川、目黒、大田) (568,594,800×5)
<3>第3分冊(26~1536頁) 46億8,760万円
(新宿、渋谷、世田谷、中野、杉並) (937,536,800×5)
<4>第4分冊(26~1256頁) 29億8,400万円
(台東、荒川、足立、葛飾) (596,816,800×5)
<5>第5分冊(27~1327頁) 26億1,420万円
(豊島、文京、北、板橋、練馬) (522,855,600×5)
合計 159億6,240万円
(2)表紙広告(1年分)
<1>表2広告 15,000,000/頁×5=7,500万円
<5>表4広告 25,000,000/頁×5=1億2,500万円
合計 2億0,000万円
(3)広告料収入合計 161億6,240万円
二.経費の部(発行部数を約400万部として算定)
1.編集費 1億4,840万円
(変更、移動の組み換え費用)
2.製版費 7,300万円
3.製本代 7億3,600万円
4.印刷費 3億4,900万円
5.紙代 5億4,000万円
6.配達費 8億0,000万円
7.広告募集手数料 24億2,430万円
合計 50億7,070万円
三.被告の本件発行物の利益概算(1年分)
110億9,170万円
<1>収入の計算は、平成8年度タウンベージの各分册を、前記頁数につき5頁毎に掲載広告の規格、被告料金表から広告を算出し、その合計額に5を乘じて算出したものにつき10万円以下を切り捨てたもの
四.各原告の損害
各原告の1年分の損害
原告会社 83億1,878万円(Ⅲの利益の4分の3)
原告水上 27億7,292万円(Ⅲの利益の4分の1)
Ⅵ 平成9年版
一 収入の部(タウンベージのサンブル調査による概算 ※<1>)
1.広告料収入(1年分)
(1)通常広告料収入
<1>第1分冊( ~1576頁) 27億2,580万円
(千代田、中央、墨田、江東、江戸川)(272,580,000×10)
<2>第2分冊( ~1656頁) 27億5,230万円
(港、品川、目黒、大田) (275,232,000×10)
<3>第3分冊( ~1632頁) 49億2,170万円
(新宿、渋谷、世田谷、中野、杉並) (492,175,000×10)
<4>第4分冊( ~1320頁) 16億5,390万円
(台東、荒川、足立、葛飾) (165,397,000×10)
<5>第5分冊( ~1416頁) 30億8,580万円
(豊島、文京、北、板橋、練馬) (308,586,000×10)
合計 151億3,950万円
(2)表紙広告(1年分)
<1>表2広告 15,000,000/頁×5=7,500万円
<2>表4広告 25,000,000/頁×5=1億2,500万円
合計 2億0,000万円
(3)広告料収入合計 153億3,950万円
二.経費の部(発行部数を約400万部として算定)
1.編集費 1億4,840万円
(変更、移動の組み換え費用)
2.製版費 7,300万円
3.製木代 7億3,600万円
4.印刷費 3億4,900万円
5.紙代 5億4,000万円
6.配達費 8億0,000万円
7.広告募集手数料 23億0,095万円
合計 49億4,735万円
三.被告の本件発行物の利益概算(1年分)
103億9,215万円
<1>収入の計算は、平成7年度タウンベージの掲載広告を10頁毎に被告料金表から広告料を算出し、その合計額に10を乘じて算出したものにつき10万円以下を切り捨てたもの
四.各原告の損害
各原告の1年分の損害
原告会社 77億9,411万円(三の利益の4分の3)
原告水上 25億9,804万円(三の利益の4分の1)
Ⅶ 平成10年版
一 収入の部(平成9年度版と同一と推定)
1.広告料収入(1年分)
(1)通常広告料収入
<1>第1分册( ~1560頁) 27億2,580万円
(千代田、中央、墨田、江東、江戸川) (272,580,000×10)
<2>第2分冊( ~1664頁) 27億5,230万円
(港、品川、目黒、大田) (275,232,000×10)
<3>第3分冊( ~1632頁) 49億2,170万円
(新宿、渋谷、世田谷、中野、杉並) (492,175,000×10)
<4>第4分冊( ~1296頁) 16億5,390万円
(台東、荒川、足立、葛飾) (165,397,000×10)
<5>第5分冊( ~1416頁) 30億8,580万円
(豊島、文京、北、板橋、練馬) (308,586,000×10)
合計 151億3,950万円
(2)表紙広告(1年分)
<2>表2広告 15,000,000/頁×5=7,500万円
<2>表4広告 25,000,000/頁×5=1億2,500万円
合計 2億0,000方円
(3)広告料収入合計 153億3,950万円
二.経費の都(発行部数を約400万部として算定)
1.編集費 1億4,840万円
(変更、移動の組み換え費用)
2.製版費 7,300万円
3.製木代 7億3,600万円
4.印刷費 3億4,900万円
5.紙代 5億4,000万円
6.配達費 8億0,000万円
7.広告募集手数料 23億0,095万円
合計 49億4,735万円
三.被告の本件発行物の利益概算(1年分)
103億9,215万円
<1>収入の計算は、平成7年度タウンベージの掲載広告を10頁毎に被告料金表から広告料を算出し、その合計額に10を乘じて算山したものにつき10万円以下を切り捨てたもの
四.各原告の損害
各原告の1年分の損害
原告会社 77億9,411万円(三の利益の4分の3)
原告水上 25億9,804万円(三の利益の4分の1)
Ⅷ 損害金総計 (単位:円)
<省略>
原告会社損害合計 金579億6,654億円
原告水上損害合計 金193億2,218億円
別紙 アサヒ番号簿の独創性
発行年度 独特の広告欄 昭和46年8月刊行版’71 昭和48年6月刊行版’73 昭和49年7月刊行版’74 昭和50年9月刊行版’75
<1> 掲載区域方面別の求人欄 ○ ○ ○ ○
<2> 縁黒連続広告*1 × × ○ ○
<3> 葛飾区名店案内 ○ ○ ○ ○
<4> 黒ベタ広告*2 × × ○ ○
<5> 住所・メモ欄 × × ○ ○
<6> 割引券付広告 × × × ○
*1 各頁の右縁に黒地に白い文字の広告を連続して掲載する。
*2 背景黒地に白い文字等で構成された広告
別紙
収録エリア目録
収録エリア 追加収録エリア
エリア1 千代田、中央、江東、墨田、江戸川
エリア2 港、品川、目黒、大田 中央、渋谷
エリア3 新宿、渋谷、世田谷、中野、杉並
エリア4 文京、豊島、北、板橋、練馬 千代田、新宿
エリア5 台東、荒川、足立、葛飾 千代田、中央